2016.07.03
一番好きなとっておきのハンカチ、つかいかた、思い出など、ハンカチにまつわることを、H TOKYO/swimmieに関わる周辺のひとに、お伺いしていきます。
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12人目はスイス在住のイラストレーター、葵・フーバーさんです。
3月末にオープンしたswimmie銀座店限定のハンカチをつくっていただきました。
小さい頃から布が大好きな葵さん。
幼き日のことやスイスのハンカチなど…
興味深いお話とハンカチを披露してくださいました。
とてもチャーミングで気さくなお人柄で
いつまでもお話をお伺いしていたかったです。
—たくさんのハンカチをスイスからお持ちいただいてありがとうございます。
キレイなのがあったら新しいものを買ってこようと思ったんですが、
わざわざ買うほどのいいものがなくて…
使ったものをもってきたの。
洗ってアイロンをかけたんですが、あまりキレイにならなくて…
—スイスではどんなハンカチが販売されているのですか?
スイスではこれが一番普通ね。
チロル地方の伝統柄のハンカチでちょっと首に巻いたりとかもするわね。
バンダナに近いものを感じますが、
素材表記がドイツ語やフランス語もかいてあったり、
模様も少し違ったり、ヨーロッパのものという感じがどことなくありますよね。
—こちらの鮮やかな色のハンカチはどういったものなのですか?
実家の引き出しに入っていたもので、50年くらい前に父(河野鷹思氏)が
初めてスイスに行ったときに買ってきたお土産だと思うわ。
エーデルワイスなどの高山植物が描かれているわね。
登山鉄道の駅の売店で売っていたりするんだけど、こんなの素敵なのは今や売っていないわね。
これもお土産でもらったものだと思うわ。
長方形のフォンデュの柄はハンカチではないけど、どちらもお料理の柄ね。
父はハンカチが大好きでお土産はいつもハンカチだったの。
今はもうどこかへいってしまったわ。
私もお土産はハンカチにしてるの。軽いしね。
工場から直接仕入れたような町の洋服屋さんがあって、そこで買ったりもするの。
となりのコモ(スイスとの国境にあるイタリアの町)は絹の産地でそこにはスカーフやネクタイのお店があったりするわ。
ハンカチの専門店はないはね。
H TOKYOやswimmieみたいにあんな素敵なお店は世界にないんじゃないかしら。調べた訳ではないけど。
アイロンもかけてくださって、あれはいいサービスね。
スイスやイタリアだとそんなことにも気づかないから。
話してもマネしようと思わないわね、きっと。笑
*H TOKYOでお買い求めいただいた葵さんのお気に入りのハンカチ
—ありがとうございます!あちらの方はハンカチは使われないのですか?
あまり使っていないわね。
ティッシュを使う人が多いかもしれない。
—ヨーロッパの方はもともと用途としてハンカチで鼻をかんだりしますよね。
私もそうなの。アレルギーもあるしね。
いつも3枚くらいはハンカチを持ち歩いていて…
鼻をかむ用、手を拭く用、包む用とわけて使っているの。
—物心ついた頃はどんなハンカチをお使いだったのですか?
白いガーゼのようなハンカチを使っていたわね。
戦時中は日本語の旧字をちゃんと使うようにという時代だったので、
「こうのあおい」ではなく、「かうのあふひ」と書くようになおされてね。
ハンカチや竹のものさし、ランドセルにも祖母が墨で名前を書いてくれたわ。
あと、幼稚園の頃はハンカチを折って、
上っ張りに安全ピンで留めて、名札代わりにしていたわ。
上っ張りの色は母が選んでくれたすごくきれいなサーモンピンクだったことをいまでも覚えているわ。
そのときはまだ、「こうのあおい」ってかいてあった。笑
—大人も白いハンカチを使っていたのですか?
どうだったかしら…覚えていないわ。
戦後になってからの話で、どこで買っていたのか、
いつ使っていたのかもわからないんだけれども、
私の父はこんな白いハンカチをよく使っていたみたいで、
亡くなってからたくさん出てきたの。
それで、これは枕カバーにちょっと縫ってしまったんだけれども。
—それ以降もハンカチは使われていたのですか?
小学校のときは疎開したんですけど、
ハンカチはお弁当をつつんだり、ちょっとケがをしたときとか、
何でも使えるわよね。
ティッシュペーパーはない時代だったからね。
絶対の必需品。私の生活の中で今でもかかせないものね。
父も戦争から帰ってきて絵の具の筆を
切れがないときはハンカチで拭いちゃったりして。
今でもたまにやっちゃうわね。
—小さい頃のことをよく覚えていらっしゃいますね。
どんなお子様だったのですか?
小さい時から不思議なくらい布が大好きなの。
母の押し入れにはいって着物の残り生地とかを
チョキチョキきったりして縫って小物をつくったりしてたの。
今でもちょっとしたものをつくったりするの。
*恥ずかしそうに見せてくださった、ネコ好きの葵さんならではの愛らしいお手製のピンクッション
—お好きなハンカチの使い方はありますか?
ハンカチでモノを包んでそのままプレゼントとして差し上げるのが好きね。
—ハンカチを選ぶときのポイントはありますか?
色がきれいなのが好きね。あとはデザイン。
大きさなんかはずっとあとね。
—ハンカチはどのくらいお持ちですか?
50枚は持っていると思う。もっとかしら。
引き出し2段で普段使うのと、きれいなものとにちょっとわかれていて。
—今回、swimmie銀座店のハンカチをデザインしていただくにあたって、
どのように進められたのですか?
ハンカチを折ったときにどの面にも模様がでてくるようにという風に聞いたので、
どこから見ても柄がでるようにいうことを大事にしたわね。
いつもそうなのですが、与えられた条件に対して誠実に真面目に答えようとしていて。結果、それができたかは別問題ですが。
実はいろいろな偶然からもできていて、
ちょうど街の絵をよく描いている時期だったのですが、
そのとき銀座を散歩していて、swimmieのお店が銀座にできると聞いていたので、じゃあ銀座の街並をかいたらいいんじゃないかと話が事務所のデザイナーと盛り上がって。
まだハンカチの条件とかも聞いていない時期だったのですが、あの絵ができたの。
それから、東急プラザ銀座店や鳩居堂なんかも入れてみたらいんじゃないかなと思ってもう一度描いたの。
想像と現実といろいろ混じりあって、ちょっと不思議な感じ。
私はスイスにいたり、日本にいたりするからね。
学生の頃、50年前の銀座と今の建物、スイスの何かが一緒になってしまうのよね。
—ありがとうございました。
新作のハンカチも楽しみにしています。
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葵・フーバー
1936年東京生まれ。東京藝術大学卒業。
スウェーデン王立芸術デザイン大学で学んだ後、1961年にミラノに活動拠点を移し、マックス・フーバーのスタジオでイラストレーションを手がける。
現在までテキスタイル、絵本、おもちゃなどのデザインや絵画制作を行う。
スイス在住。2014年スタジオ・プントビルゴラを東京・東日本橋に設立。